あなたは私を知らなくても
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「しっかり両手で持って…そう、そうです。ピントを合わせながら、光の具合も見て…」
「む…随分と難しいんだな。何かコツのようなものはないのか?」
割と様にはなっているが、いまいち納得していない九郎さんは、私にそう尋ねてくる。
コツ、と言われても困ってしまう。
だって私だって一眼レフに関しては初心者なのだ。
初心者でも扱いやすいデジタルカメラとは違うのだ。
「コツ、ですか…」
「ああ。写真を撮る時に、奏多が何か心掛けている事はないのか?」
ただ一つだけ、いつも意識している事があった。
というか、難しい事を考えるのが苦手な私は、それしか考えていない、というのが正しい表現かも知れない。
「レンズ越しで、一番輝いているものを撮るんです──」
世界には色がある。
光がある。
でも、その中でも更にきらきらと輝きを放つものがきっとある。
私がさっき九郎さんに向かってシャッターを切ったのは、九郎さんが何よりも煌めいていたから。
それをしっかりと残しておきたかったから。