あなたは私を知らなくても
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そして私達は今、こうして一緒に居る。
奇跡、なんて言葉で片付けてはいけないと思う。
じゃあどんな言葉が正しいんだって言われたらとても困るのだけれど。
「空、すごく晴れてるのに、雪がこんなにも降ってるの、何だか不思議じゃないですか?」
雨の日なら空は灰色に支配され、冷たい雫を零す。
それが今は違う。
快晴の空からふわふわと優しい雪が降っている。
理屈とかはよく知らない。
でもこの美しい情景を前に、私はただ溜息を零す事しか出来なかった。
「そう言われてみれば、不思議だな。今までそんな事を考えた事も無かったが……」
「そうだ、平泉でもこんな事はよくあったんですか?」
「ああ。降り積もった雪が太陽の光を反射して煌めき、更に晴れ渡った空から舞い落ちる雪を見た時には、俺も年甲斐にもなく心を踊らせたものだ」
九郎さんは空を見上げながら、私に告げた。
きっと彼の脳裏には、あの美しい平泉の情景が鮮明に描き出されているのだろう。