あなたは私を知らなくても
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「……独りが…」
「え?」
「独りが…平気な奴が、居る訳ないだろう……!!」
絞り出された声も震えていて。
私は漸く悟った。
そうだ、九郎さんは独りの悲しみを知る人だったのだ、と──
でも、今更後には引けない。
願いを叶える迄は、私は独りなのだ。
逃れる事など出来ないのだから。
私は力を振り絞って、九郎さんの体を押し返す。
私の行動に、九郎さんは驚いて目を丸くする。
「奏多…?」
「本当に、平気です。少し、独りにしてもらえませんか?少し、考えたい事もあって。後で必ず、宴にも顔を出しますから」
なんて言ったって、私は源氏を勝利に導いた戦女神ですから。
冗談っぽくそう付け加えれば、九郎さんも多少は安心したのか立ち上がった。
橙の髪が暗がりの中でも輝いて見えて。
何故だか私も少し安心してしまった。
戦の後でも彼が生きている事実が嬉しくて。
「それじゃあ俺は先に戻っているからな。お前も早く来いよ。皆お前を待ち侘びているからな」
「はい、分かりました。我儘言ってすみません」