あなたは私を知らなくても
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それでもリズ先生がそれをみんなに話す事はない。
だってあの人なら、私の覚悟を、決意を誰よりもよく分かってくれる筈だから。
私は軋む躯の痛みを必死に堪えながら、また笑顔を作る。
九郎さんに余計な心配を掛けない為に。
好きな人に迷惑をかけたくない。
誰だって、そうでしょう?
「総大将の九郎さんがこんな所に居ていいんですか?宴、盛り上がっている頃じゃないんですか?」
「…それはそうだが……しかし、こんな所にお前一人を残しておく訳にはいかん」
「平気です。独りは、慣れてますから」
私がそう言うと、九郎さんはいきなり私の体を両腕で抱き締めた。
逞しい腕に、私はすっぽりと包まれてしまう。
「く、九郎さん!?」
彼の突然の行動に驚いてしまった事と、疲労から私は身動き一つ取れなかった。
蝋燭の弱々しい光が照らす陣中の片隅で、私はされるがままになっていた。
抵抗しなかったのはきっと、体の自由がきかなかっただけだからじゃない。
嫌じゃ、なかったからだ。
九郎さんは私の肩口に顔を埋めている。
そして私を抱く腕は小さく震えていた。