あなたは私を知らなくても
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
何とか立ち上がろうと試みるけれど、疲労の為にうまくいかない。
苦痛の表情を浮かべる私に、九郎さんはそっと私の肩に触れて制した。
「座ったままで構わん。初陣であるというのに、お前の活躍には目を瞠るものがあった」
「…すいません」
頭と心が願っても、体がそれに従わなかった。
それほどに、私の体は疲弊しきっていた。
いくら剣技を磨こうとも、私の躯自体はまだこの世界に来て数ヶ月。
弱い器では、強化された剣と体術に、とてもじゃないけれど追いつかないのだ。
だから今日のように器の限界を越えた動きをすれば、今のように躯にがたがくる。
それを望美に、みんなに知られたくなくて、こうして陣の片隅の人の少ない所にいたのに。
「どこか怪我でもしているのか?」
「…いえ、怪我はしていません。服についているものも、返り血ばかりですから」
私が苦笑いで言うと、瞬時に九郎さんの表情が曇る。
そんな顔、しないで。
全て私が望んでしている事なんだから。
「奏多…すまない。お前達を巻き込みたくはなかった……」