あなたは私を知らなくても
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涙を捨てなければ
笑顔を捨てなければ
私は戦えなかった
無意味だと分かっていても
それが自分を苦しめる事になっても
私は強がる事しか出来なかったんだ──
《だから、強がらなくちゃ》
ただ流されるだけでは何も変わらない。
ただ生きるだけでは何も変えられない。
そう気付いてから、もうどれ程の時間が流れたのだろう。
そんなに遠い日の事ではない筈なのに。
もう、思い出せない。
でも、構わないの。
それで願いが叶うなら──
「奏多、お前は大丈夫なのか?」
陣中の片隅で腰を下ろしていた私に一つの影と共に、声が降ってきた。
少し疲れたような、でも確かに私を気遣う声。
私はゆっくりと顔を上げる。
「九郎さん……」
私の顔を見ると、九郎さんは安堵の表情を浮かべた。
どうやら私は彼に心配をかけてしまっていたらしい。