あなたは私を知らなくても
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「お前がこの世界に来てから、側にいる時間が長かったのは、他でもない俺だ。お前が悩んでいることは知っていた」
人を殺めるということ。
優し過ぎる奏多のこと、傷付かないはずがないのだ。
悩まないはずがないのだ。
「でも、俺はお前なら乗り越えられる、と勝手に決めつけてしまった。お前は強く、物分かりのよい女だったから…誰かの助けを必要としていたのは、他でもない、お前自身だったのにな」
「……」
「本当に、すまない。こんな言葉を、お前は望んでいないのかも知れないが……」
奏多の薄い肩がぴくり、と反応した。
まるで怯えているかのように。
「…どうして……どうしてそんなに優しくしてくれるんですか!?私は最悪の女なのに。今だって人を殺して、平気な顔して……」
堰をきったように奏多は言葉を吐き出す。
彼女の中に抑圧されていた感情が露わになる。
「私は色んな人を傷付けてる。悲しみの連鎖を生み出してる。こんなこと、したくないのに…!!……戦いたくなんてないのに」
九郎の体に奏多の細い腕が回される。
その腕にきつく込められた力が、彼女がそれだけ必死だということが、痛いくらいに伝わってくる。