あなたは私を知らなくても
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「でも、今はこれでよかったのかな、なんて迷ってもいます。彼等に対して、更正の手を差し伸べるべきだったのではないか、と」
続けて奏多は言の葉を紡ぐ。
滑らかな言葉は、深く九郎の心に浸透していく。
「でも、ああするしかなかった。私、死にたくなかった!!」
吐露された言葉は、何よりの真実で。
何よりの願いだった。
奏多は、変わってはいないのだ。
それは、彼女の原初からの願いだから──
九郎は思わず、奏多の体を抱き締めた。
こんなにも細い手足で、肩で。
彼女はなんて重い物を背負って生きているのだろう。
何故、奏多でなければならなかったのだろう。
普通ならば、着物を着飾り、恋をして。
愛する人の側に寄り添い、幸せな日々を送る事が出来るのだろう。
しかし、彼女はそれを許されなかった。
神に選ばれたが為に、“普通”であることを失った。
身近な人たちを失った。
本当の笑顔すらも。