幾千の繋がらぬ運命を越えて
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「それはお前の自由だ。今ここにいる俺を信じるのも、信じないのも」
卑怯だ──と思った。
知盛を信じない理由なんてどこにもない。
それどころか、私はあなたを疑いたくなんてない。
あなたは聡い人だから、それを分かっていて、わざと言ってるんだ。
私が困ったり、悩んだりするのを見て、楽しんでいるんだ。
だから私は強気に出て言った。
この人に弱い所を見せてはいけないような気がする。
私は鎧に縫い付けられた真紅の紐を掴み、知盛の身体を引き寄せた。
さすがの知盛も少し驚いた表情をしている。
だが、あくまでも口許には微かな笑みを浮かべていた。
「私は……あなたを信じる。だから──」
「俺が何故ここにいるのかを教えろ、か?」
私が言おうとしたことを、知盛が先に口にした。
私は頷きもせず、知盛を睨み付けるような眼差しで見上げた。
あなたはいつだってそうだ。
あなたはいつだって予想できなくて、掴みどころがない。
だから私はきっとあなたに囚われてしまったんだろう。
元の世界はとても退屈だった。
望美も譲も、大好きな将臣だって、望めば側にいてくれてすごく嬉しかった。
他愛ない会話をして笑い合うのが嫌いだったわけじゃない。
ただ、いつも、いつだって。
このありきたりな日々が終焉を迎えればいい──そう、願ってた。
どんな形だって構わないから、退屈に満ちた日々から抜け出したかった。
ただ曖昧に毎日を過ごし、年老いて死んでゆくのは嫌だった。
もしかしたら、本当の意味で将臣や譲、望美をこの異世界の戦いに巻き込んでしまったのは白龍ではなく、私だったのかも知れない。
全てを変えたい、変わりたいと願った私の欲望に、三人を引き摺り込んでしまったのかも知れない。
三人だけじゃない。
朔も九郎さんもリズ先生も、みんな、みんな。
私が、いたばかりに。