あなたは私を知らなくても
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あれも私
これも私
あなたが見ている私
私が見ている私
全部、私で
どれも私
私、でしかない
優しさも残虐さも
全ては紙一重──
《表裏一体》
夜半の月に煌めく真珠色の髪。
なだらかに靡くは生糸のようで。
縺れなき御髪は、ふわりと風に舞い上がる。
はためく衣は鮮やかな蒼。
そこから覗く華奢な足は、折れてしまいそうに細い。
そして、白く、穢れない。
夏の蒸し暑さに打ち勝てずに、寝付くことが出来なかった九郎は夜風に当たる為に堀川の通りに出ていた。
予想外にも、九郎は見知った後ろ姿を見つけたのであった。
京を守護する龍の選びし姫神子。
この京を救う為に異世界から呼び寄せられた少女。
そして、九郎が密かに思いを寄せる──
「奏多!!」
己の名を呼ぶ声に気付いた少女、奏多はゆっくりと振り返る。
その動作はひどく緩慢で。
漠然と恐怖と不安の念を抱かせた。