髪を下ろしたあの人は
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「ちょっ…奏多ちゃん!?」
景時さんの声に我に返った私は、自分の行動を冷静に見つめて仰天してしまった。
朔や望美にするならまだしも、男の人に、それも景時さをに抱き付いてしまうなんて。
到底正気の沙汰とは思えなかった。
「っ!ごっ…ごめんなさい!」
私はすぐさま景時さんから腕を離し、まるで戦さながらのように、その場から飛び退いた。
そして腕を伸ばしても到底届かない位置まで距離を取る。
「い、今のは決して疚しい気持ちで抱き付いた訳では…」
「あはは、奏多ちゃん。別に抱き付かれるのは構わないけど、急でびっくりしただけだから、そんなに頭を下げないでよ~。オレの方が悪いことしたみたいじゃない」
大慌てで何度も何度も頭を下げ続ける私に、景時さんは大人な、余裕の笑みを浮かべた。
さっきまでの動揺は何処へやら、だ。
本当に切替えが早い。
「そんなことより、オレの魔法が切れちゃう前に星空を堪能してよ」
「あ、はい。そうでした」
私は一瞬にして広げた距離を、私は少しずつ詰めた。
景時さんの横に並んで、もう一度星空を見上げた。
私たちの間に長い沈黙が訪れる。
無言のままで見上げた星空は、幻だと分かっているのに、溜め息が出るくらいに綺麗だった。