髪を下ろしたあの人は
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「奏多ちゃん、何を見ていたの?」
私は星を眺めるのが好きだった。
暇があれば戦の途中でも、眠る間を惜しんで見上げていたことがあったから。
九郎さんや弁慶さんは明日に備えて眠った方がいいと勧めてくれた。
疲れを残していては明日の戦いに響くから、と。
彼らは彼らなりに私の身を案じてくれていたのだと思う。
それでも私は星を眺めていた。
あの頃の私は何もかもがどうでもよくて、自分の命さえ軽く扱っていた。
いつ死んだっていいと思っていた。
私なんて誰かを苦しめるだけの存在だと思っていたから。
でも、今は、違う──
守りたい人が出来た。
愛しい人が出来た。
私は死にたくない。
ずっとこの人の…景時さんの側にいたい。
だから、私は死ねない。
気を張り詰めていなくてはいけないことが増えた。
でもそれは目的の出来た私には、心地良いものでもあった。
星空を眺める機会も随分減った。
それ以外にしなくてはならないことが一気に増えたから。
でも年に一度のこの日はやはり無意識の内に空を見上げてしまった。
「今日が何の日か知ってますか?」
「今日は…七月七日、だよね?何かあったかな……」
「今日は七夕ですよ」