人ならざるものであっても
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敦盛くんは少し恥ずかしそうに顔を背けながら言った。
どういうことだろう。
普通は迷惑に感じると思うのだけど。
敦盛くんの言葉の意味が分からずに首を傾げれば、敦盛くんは小さく呟くように言った。
「奏多はいつも、一人で何でも背負い込んで無理をするから」
だから、心配なのだ、と敦盛くんは口にする。
声色から察するに、敦盛くんはあまり快く思っていないのだと思う。
私の自分勝手な行動が。
でも、敦盛くんはそんな私を咎めたり、止めたりするようなことはしない。
ただ傍にいて、私の無茶極まりない行動を補助してくれる。
私が必要以上に怪我をしたりしないように。
あくまで私の意志を尊重してくれているのだ。
「無茶しないと、手に出来ないものもあるってあの世界で学んだから」
私は笑顔で言う。
死に物狂いで頑張ったからこそ、敦盛くんは今、私の傍にいてくれる。
だから、今回だって同じだ。
少しでも長く敦盛くんと同じ時間を共有出来るように、私はどんなことだってする。
どんな手段をとることになったって。
最終的にはそこに行き着くことになるんだろうと思う。
だけど。
「でも…うん、これからはちゃんと敦盛くんにも相談して、無茶しないようにする」
私が言えば、敦盛くんは嬉しそうにはにかんで頷いてくれた。
ああ、こんな小さなことだけでも、敦盛くんは安心してくれて、笑顔を見せてくれるんだ。
もしかしたら、敦盛くんを疲労させていたのは私の一挙一動にも原因があるのかも知れないと思う。
ひとりよがりは少しの間お休みにしよう。
もっと、敦盛くんのことを見て、彼のことを考えて。
その上で、自分の選ぶべき道を考えようと思った。
それでももし間違った選択をしてしまったなら。
その時は、また──
ゆっくりと微かに
だけど確実に
繰り返される呼吸
そんな当たり前に安堵して
私はいつのまにか
君を失うことに
こんなにも臆病になっていたんだ──
《終》