人ならざるものであっても
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敦盛くんがここまで深く眠り込むというのも珍しい。
もしかしたら顔には出していないけれど、まだこの世界に慣れることが出来なくてストレスと疲れを溜め込んでしまっていたのかも知れない。
そんなことにすら気付いてあげられないなんて、恋人として失格かも知れない。
今度は悔しい気持ちから溢れ出しそうになる涙をなんとか堪えて、私はすぐに立ち上がった。
暖房が効いていて、室内はそんなにも寒くはないけれど、もしかしたら風邪を引いてしまうかも知れない。
私は隣の部屋のクローゼットの中にある毛布を引っ張りだし、敦盛くんに掛けた。
そしてもう一度敦盛くんの横に腰を下ろして、そっと敦盛くんの肩に頭を寄せた。
私達の幸せは、きっと長くは続かない。
私も敦盛くんもそれは理解している。
だけど、お互いに理解した上で短い時間であったとしても傍にいたいと願わずにはいられないのだ。
永遠なんてものは存在しない。
昔からそんなことは分かっていた。
変なところだけ現実主義なところがあったから。
でも、いつか終わることを理解しながら相手を想う辛さがあるなんて、私は知らなかった。
少しでも長く。
少しでも永く。
敦盛くんと一緒にいられますように──
そう心の中で祈りながら、私はそっと目を閉じた。
***
「奏多…」
私を呼ぶ声と、頬を撫でる掌の感触に、私はそっと目を開ける。
その瞬間に指先がびくり、と強張るのが分かった。
「敦盛…くん?」
「あ…すまない。起こしてしまったか」
敦盛くんは何も悪いことはしていないのに、私に謝った。
眠るつもりは無かったのだけれど、安心したせいかいつのまにか眠りに落ちてしまっていたらしい。
敦盛くんに掛けてあげたはずの毛布は、私の身体の上に掛けられていた。
先に目を覚ました敦盛くんが気を遣ってくれたらしい。
「平気。そんな深く眠ってたわけじゃないから」
「そうか…」
「敦盛くんこそ、重くなかった?私、寄りかかって寝ちゃってたよね」
「大丈夫だ。その…寧ろ…」
「寧ろ?」
「奏多に頼られているようで、嬉しかった」