人ならざるものであっても
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そっと伸ばした震える指先に、微かに風を感じる。
敦盛くんの吐息だ。
敦盛くんがただ眠っているのだと分かった瞬間、一気に身体から力が抜けていくのが分かった。
良かった、本当に良かった。
安心した途端、私の頬を涙が伝った。
自分でも驚かずにはいられなかった。
異世界で涙の流し方なんて忘れてしまったと思っていた。
だけど、こんなにもあっさりと私の涙はかえって来た。
それほどまでに、私は敦盛くんが傍にいてくれることが嬉しいということなのだろうか。
それもそうかも知れない。
敦盛くんを悲しませないために、私は何度も何度も時空を越えて最善の道を模索してきたのだから。
今のこの運命が本当に最善の選択だったのかは分からない。
敦盛くんは何も言わない。
だから私はいつも不安になるんだ。
この運命を選択して良かったのだろうか、と。
溢れ続ける涙を拭いながら、私は敦盛くんの横に腰を下ろす。
ソファーが少しばかり深く沈み込むけれど、それでも敦盛くんは目を覚まさなかった。