あの遠き海へ願う
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そして、その時が迫ってきていた。
早く時空跳躍を試みなければ、“私”が本当に死んでしまう。
「ヒノエ、ずっと一緒にいられなくてごめんね」
「なに最期みたいな言い方してるんだよ。お前は死なないさ。すぐに弁慶が来て──」
「ヒノエ、絶対に死んじゃ駄目だよ。生きてさえいれば、また必ず逢えるから」
きっとヒノエは私の言葉の真の意味は理解出来ないだろう。
ヒノエの耳に気休め程度にしか聞こえなかったとしても、ちゃんと伝えておきたかった。
燃える焔の如き赤い瞳に誓う。
何度でも私は君に廻り逢うと。
そして今度こそ君と共に在る運命を紡ぐのだと。
「…ヒノエ、耳、貸してよ」
ああ、限界が近い。
掠れた声で呼べば、すぐにヒノエは腰を曲げて私の口元に耳を近づけてくれた。
ヒノエも覚悟したのかも知れない。
何も言わずに私の言葉を待ってくれているから。
「ばいばい、ヒノエ。大好き、だよ」
そこで意識はブラックアウトした。
その後の私がどうなったのかは知らない。
その後“あのヒノエ”がどうしたのかも知らない。
次に目を覚ませば
君はまた私に
笑顔を向けてくれるのだろう
だけどそれは
誰に対しても向けるものだから
私だけに見せてくれる笑顔とは
もう暫くお別れなの──
《終》