あの遠き海へ願う
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柔らかい赤いくせ毛の髪に触れれば、ふわりと甘い香りがする。
潮の香りと混ざって独特の香りを漂わせる。
私はこの香りがとても好き。
「奏多…お前は本当に馬鹿だよ。オレなんかを庇ってどうするんだよ…本来ならオレが姫君を守るべきだろう?」
「大好きな人を守りたいのは私も、同じ…身体が咄嗟に動いちゃったんだもん。仕方…ないじゃん」
口の中に血が溢れてきて思わず咽せてしまう。
「もう喋るな、身体に障る。おい、アイツはまだ来ないのか!?」
らしくもなくヒノエが慌てた声で叫ぶ。
ヒノエの言う“アイツ”はおそらく弁慶さんのことだろう。
他の船で戦う弁慶さんを烏が呼びに行ったんだろうけど、時間がかかりすぎる。
彼がここに到着するまで、私の身体はおそらくもたないだろう。
自分のことは自分が一番分かるつもりだ。
何度も何度も死線を乗り越えてきたから。
否、正確には乗り越えてはいないけれど。
時空跳躍でその運命を離れただけに過ぎない。