あの遠き海へ願う
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敵船にいたのだが、ヒノエを庇って重傷を負った私をすぐさまヒノエは自軍の船に移動させたのだった。
ヒノエの判断は正しい。
こんな手傷を負っていては、標的にされるだけだ。
応龍の神子を討ち取ったとあればその兵の名は上がり、平家の士気もますます高まることだろう。
それだけは何としても避けねばならなかった。
「泣かないでって、言ってるじゃん、ヒノエ。男前、台無しだよ?」
鉛のように重い腕を持ち上げてヒノエの涙を拭う。
それでも彼の涙は止まること無く、次から次へと零れ落ちる。
頬を溢れ伝う透明の雫はとても美しかった。
でも同時に胸を締め付けられた。
ああ、胸が痛い。
ヒノエのこんなに辛くて悲しそうな顔を私は何度見てきただろう。
この表情を見る度に私は痛くて痛くてすぐにでも逃げ出したくなる。
いっそここで本当に君を悲しませるだけの私なんて死んでしまえば良いのにとさえ思ってしまう。
「愛しい女が死にかけてるのに、笑えるわけないだろ…!」
「あはは、それもそうか…」