人ならざるものであっても
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良いことを閃いてしまった。
誰得なのか、と聞かれれば、完全に私得なんだけど。
「ちょっとここで待ってて。これ、望美の靴箱に掛けてくる」
今日の天気予報を見ただけでは、望美も普通の傘はきっと持って来ていないだろう。
望美の委員会が終わる頃まで、この雨が続いているかは分からないけれどあるにこしたことはないと思う。
私は敦盛くんが持っていた望美のピンクの傘を受け取ってから、下駄箱へ戻った。
望美の下駄箱に傘を引っ掛ける。
もう校舎の中に残っている生徒もそれほどいないだろうし、盗まれてしまうこともないだろう。
下駄箱にやってきて驚かせてしまわないように,念のためにメールを送っておく。
敦盛くんが傘を持って来てくれた旨を記して送信した私は駆け足で敦盛くんの元に戻った。
「奏多…?」
「お待たせ。それじゃ、帰ろっか」
「いや、しかし傘は一本しかないが…」
本心を押し隠して、極めて平常心で笑顔を取り繕う。
邪な考えがあると見抜かれてしまっては、敦盛くんはきっと一緒に帰ってくれなくなる。