あの遠き海へ願う
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ヒノエは眉根を寄せる私を見て笑った後、私のシャーペンを手に取った。
「どの問題が分からないの、姫君?」
「…もしかして、教えてくれるの?っていうか解けるの?」
「これくらいなら、何とかね。あまり難しいのはまだ公式とか覚えていないから無理だけど」
空いた口が塞がりそうになかった。
まだこの世界に来て数ヶ月しか経っていないというのに、私よりも数学が出来るなんて。
私は向こうの世界で過ごした時間が長すぎて、英単語も公式も綺麗さっぱり忘れてしまったっていうのに。
「さぁ、早く片付けようぜ。分からないのはどれ?」
私は一瞬躊躇った。
けれど、すぐにヒノエ相手に意地を張っても仕方がないと思い直して、問題を指差した。
「この2^x=x+4は正の解と負の解をもつことを示せっていう問題なんだけど…」
「ふーん…」
問題を聞いたヒノエは方程式と少し睨めっこしたかと思うと、口を開いた。
同時に問題集にすらすらとシャーペンを走らせた。
「この問題はy=2^x(=f(x))とy=x+4(=g(x))の二つの式に分けてグラフを書いてみると良いよ。グラフ上の交点が方程式の解になるからね」
そう言ってヒノエはフリーハンドで簡単にグラフを書いた。
定規を使ってもいないのに、ヒノエの描く線は正確だった。
またヒノエは話を続ける。
「ただし『正の解と負の解をもつことを示せ』ってあるから、数値まで厳密に求める必要はない。x=0の時、f(0)=2^0=1、g(0)=0+4=4だからf(0)g(x)となるところがあれば、二つのグラフの大小が逆転している、すなわち交点が存在しているとなり、それが正のところと負のところで少なくとも2箇所あることから、正負両方に解が存在することになる…と。どう、分かった?」