あの遠き海へ願う
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
つまるところ、私は数学があまり得意ではない。
いや、苦手、嫌いだという方が正しいかも知れない。
どうにも理論立てて考えるというのが私には向いていないらしい。
公式の暗記くらいなら出来るけれど、それを用いて問題を解くというのが苦手だ。
初めの方に載っている、簡単な方程式くらいなら解ける。
だけどちょっと応用をきかされるとてんで駄目なのだ。
すぐに行き詰まってしまった私は大きな溜め息を漏らして、机に突っ伏した。
明日数学が得意な友達に、問題集写させてもらおうかな。
そんなことを考えた時、私の頭を誰かが撫でた。
「もうギブアップかい、姫君?」
手の主は言うまでもなくヒノエ。
この家には今、私とヒノエしかいない。
むしろヒノエ以外だったら、私は今大変なことになっている。
私は突っ伏したばかりの身体をゆっくりと起こしてヒノエを見た。
ヒノエはロングTシャツにタイトジーンズというラフな服装だった。
「その言葉…また将臣から?」
「いや、自分で勉強したんだよ」
「自分で?」
「そうだよ。オレはこの世界で奏多と生きていくと決めたんだ。それなら少しでも早くこの世界に慣れるために、色々勉強しないとね」