あの遠き海へ願う
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彼は熊野水軍の頭領で別当殿。
その立場にある彼が、熊野を捨てられるはずがない。
ずっとそう思っていた。
だからこそ、私は最後まで彼への気持ちを口にしなかったのに。
それなのに、ヒノエはいともあっさりと私の世界に留まることを口にした。
『オレが愛しているのは奏多、お前だけだからね。オレがいなくても熊野は何とかなる。だけど、奏多にはオレが必要だろう?オレが奏多を求めてやまないように』
漫画かゲームの世界でしか聞いたことのないような台詞を、ヒノエは何の躊躇いも恥じらいも見せることなくさらりと言ってのけた。
もちろんその後、私が赤面したことは明らかで。
そして私が彼のその言葉に頷くのも必然で。
みんなは元の世界に戻ってしまったけれど、ヒノエは私の家で暮らすことになった。
「三カ月…あっという間だったなー」
呟きながら視線を落とせば、真っ白な数学の問題集。
盛大に溜息を吐きながら、私は問題集を睨みつけた。