あの遠き海へ願う
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少しずつ、少しずつ
境界線がなくなっていくの
異質な存在であったはずの私が
あの世界に馴染んだように
今は君が少しずつ
この世界に溶け込んでいくの──
《即席家庭教師》
ちらほらと桜の花が咲き始めた。
温かい空気が春の訪れを告げている。
なのに。
今日は家で春休みの宿題。
窓の外はぽかぽか陽気で、ピクニックなんてしたらさぞかし気持ちがいいことだろう。
でも、明日は入学式。
宿題を終わらせない訳にはいかないのだ。
いや、最終日まで全く手を付けずに放置していた私が悪いんだけれど。
宿題を最終日に必死でやるのはいつものこと。
だって、休みの間は思い切り遊びたいじゃないか。
それに今年はヒノエがこの世界に留まって初めての春。
色んな所へ出掛けたくなるのは道理というものではないだろうか。
あれほど熊野を大切にしていたヒノエが、私の望みを叶えて、私の傍にいることを選んでくれた。
どんなに私が願っても、彼は私だけのものには決してならないと思っていたのに。