あの遠き海へ願う
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そう簡単には変われない。
染み付いてしまったものを、そう簡単に拭い去ることは出来ない。
ヒノエは小さく笑って、私の首筋に小さく口付ける。
「奏多…お前はもう少し、聞き分けの良い女だと思っていたんだけどね」
呆れたようにヒノエはそう口にする。
でも相変わらず私の体は離さない、ときつく抱き締めたままで。
矛盾したその行動に、ヒノエの本心がどちらなのか計りかねる。
「君に従順で、媚びへつらう女なら良かった?」
「まさか?奏多以上にサイコーの女をオレは知らないね。いや、知りたいとは思わないね」
口説き文句も、いつもより随分と糖度が低い。
声色は意識して甘くしているんだけど、その中に滲む苦渋はそう簡単には隠しきれない。
私は誰よりヒノエが大好きなんだよ?
それくらいのこと、意識しなくたって手に取るように分かる。
私はヒノエの為に生まれた世界を捨てた。
元の世界に帰ることを拒み、この世界を選んだ。
今まで積み上げてきたものをかなぐり捨ててまで、君の側にいたい。
そう、思っているのに。
意識の、想いの歪みに虚しさを感じずにはいられない。