幾千の繋がらぬ運命を越えて
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今まで誰かを好きになったことなんてなかった。
今までにたったの一度だって、誰かに愛して欲しい、側にいて欲しいと思ったことなんてなかった。
人の心なんて、とても移ろいやすいもので。
人の心なんて、とても曖昧なもので。
きっとこの世界で、一番信用できないものなんだと思ってた──
《永遠の螺旋が終わる時》
でも、あなたに出逢って。
あなたの醒めた、どこか此処ではない遠くを見つめる瞳を知って。
今まで生きてきて初めて知った。
私がこんなにも自己中心的で欲深いのだということ。
みなが心に思い描く私という存在は、仮初のものでしかないということも。
あなただけが本当の“私”を知っている。
だけど、あなたはもうすぐいなくなる。
そしてあなたと一緒に“私”も消えていなくなる。
“私”とあなたはいつだって一緒にいられるのだろうか。
此処ではない何処かで。
誰も知らない彼岸の向こう側で。
──じゃあ、な
耳元で囁かれた言葉は。
私をあなたの影に心地良く縛り付けるものだった。
私は最後まであなたに甘えていたんだね。
あなたの不器用な優しさに。
だけど、それももうお終い。
私もやっと世界から解放される。
永遠に続く死の螺旋。
繰り返される幾多の運命。
何度も目に焼き付けたあなたの死──
もう充分。
生きるのも死ぬのも、置いて行かれるのももうたくさん。
……少し、疲れた。
目の前に迫る怨霊の振り下ろす刃を。
そのスローモーションな動きを私はやけに落ち着いて見つめていた。