あの遠き海へ願う
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「安心しなよ、奏多。オレが見つめているのは、いつだってお前だけなんだからさ」
優しく私の肩を抱きながらそう言うヒノエは、漫画に出てきそうなプレイボーイそのもので。
時々、どうしてこんな男に恋しちゃったんだろ、なんて考える時もあるけど。
ヒノエは私には絶対に嘘をつかないから。
歯の浮くような台詞だって、真実だから。
…出来れば普通の言葉で伝えて欲しいものだけど。
「なんかヒノエを見てると感心するよ。ついこないだまで違う世界に居た人だなんて思えないもん」
「そうかい?奏多の世界は本当に刺激的で知らない事が沢山あるからね。それを身に付けて使いこなしたいと思うのは当然だろ」
「それにしたって飲み込みが早過ぎるんだよ。九郎さんなんてまだ散々なのにさ」
「おいおい…九郎なんかと比べないで欲しいね」
心外だ、とでも言いたげにヒノエは大袈裟に肩を竦めてみせる。
その様子は本当に現代の若者じみていて。
やっぱり彼の順応性の高さにただただ感心してしまう。
「…それに……この世界の知識を身に付けた方が、奏多との話も盛り上がるだろ。仲間外れにされる訳にはいかないからさ」
にやり、と口の端を釣り上げて笑うヒノエは悔しいけれどやっぱり格好良くて。
しゃくだけど、やっぱりヒノエが大好きだ。
何でもそつなくこなす君が
時々とても遠い存在のように思えて
遠い存在は私の筈だったのに
君がこのままこの世界の色に
染まってしまえと願うのは
悪い事なんだろうか──
《終》