人ならざるものであっても
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「敦盛…くん?」
「奏多殿、こんな所にいては、風邪を引いてしまいます。さあ、中へ……」
言いながら彼女を屋敷の中へ導こうとする。
が、彼女はその場から動こうとはしなかった。
それどころか、細い指先で敦盛の腕を掴む。
弱々しい求め方。
それでも確かに奏多は敦盛を引き止めた。
「心配かけて、ごめん。でも…もう少し、此処に居させて」
震える声に、敦盛は将臣が探していたという事をすぐに伝える事が出来なかった。
思い詰めた表情の彼女を、このまま独り、此処に置いていく事は絶対に出来ない。
「それならば私も此処に」
「…風邪、引くよ?」
「奏多殿を、今一人には出来ない。私が貴女の支えななれないのは分かっているが、それでも…」
諭すように言葉を紡げば、奏多は一瞬泣きそうな顔をして。
それでも無理矢理に笑顔を作り出した。
「じゃあ、一緒に居て…?」
「……ああ」
差し出した傘に二人。
濡れないように肩を寄せ合って。
今はまだ貴女の
悲しみの理由を知るには早く
一分でもいい
一秒でもいい
少しでも早く
貴女の悲しみを癒やしてあげたい──
《終》