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でもその事情を譲に私から話すわけにいかない。
将臣が話さないのなら、きっとそれがお互いにとって一番いいということなのだろう。
「携帯もないし、連絡なんてとれないしね。将臣にばかり頼れないよ」
「それじゃあ──」
譲はなんとしても私を引き止めようとしてくる。
嬉しいけど、今はそれがとても辛い。
私は汚い。
何も話さないままで、ただ譲の意見をいかに突き崩すかばかりを考えている。
「もう、何も言わないで」
「奏多先輩…」
「何もここで一生のお別れをする訳じゃないよ?私、譲と一緒にいたいから。だから今はあえて我慢するの。生きていなくちゃ何も出来ないでしょ?」
「……」
「すぐに帰ってくるよ。譲の夢が現実のものにならなかった時、私はまた此処に──譲のところに帰る」
そう言ってから私はずっとポケットにしまい続けていた小さな巾着を取り出して、それを譲に手渡した。
菫色の布地に黄色の糸で小さな星が刺繍された掌よりもずっと小さな巾着。
私がまだ幼かった時に、スミレおばあちゃんから貰った物だ。