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寝癖でいつもに増してぼさぼさの頭をぽりぽりと掻きながら、兄さんは奏多先輩を迎え入れた。
玄関の扉をくぐって、奏多先輩はようやく俺の姿に気付く。
俺と目が合うと、奏多先輩は柔らかく微笑んだ。
同じ女性なのに、春日先輩と奏多先輩の笑顔は全然違う。
正反対、と言ってもいいくらいかも知れない。
春日先輩の笑顔を向日葵のような大輪の花の輝かしい笑顔とするならば、奏多先輩の笑顔はかすみ草のように控えめなものだった。
そうであるのに、不思議と人を惹きつけてやまない不思議な魅力が彼女の笑みにはあった。
もちろんそんなことは恥ずかしくて、面と向かって言うことは絶対に言えないのだけど。
「あ、おはよう、譲」
「おはようございます、奏多先輩。わざわざすいません、家まで来てもらってしまって」
「いいよ、いいよ~。どうせ家隣なんだから、気にしないで」
本来なら俺が奏多先輩の家に伺うべきなんだろうが、男の俺が幼馴染みだとは言っても、一人暮らしの女性の家に上がり込む、というのはどうにも気が引けたのだ。
そうしたら奏多先輩が気を遣って俺の家までくると申し出てくれたのだ。