何よりも優先すべきは
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「奏多、此処に居たのか…」
いつの間にか背後にはリズ先生が立っていた。
本当はもう少し前からいたんだろうけど、私があまりにも真剣に桜の木を見上げているものだから、気を遣って声をかけずにいてくれたんだろう。
リズ先生は何も言わないけれど、きっとそうだと思う。
彼はそういう人だから。
金の髪が太陽の光を反射して美しく煌めく。
纏っている深い紺色とのコントラストで、更に映えて見える。
「どうしたんですか?望美あたりが私のこと探していましたか?」
数日ぶりに京に戻ってきたというのに、大したコミュニケーションも取ろうとしない私にやきもきしているに違いない。
望美は最後まで私が京を離れることを渋っていたから。
私の問い掛けに対して、リズ先生は静かに首を横に振った。
あれ、違った?
だとしたら町に怨霊でも現れたのだろうか。
いや、それはない、か。
怨霊なら望美と朔が京邸にいるんだし、私がいなくても問題はないはずだ。
というか、そうであるならこんなにもリズ先生が落ち着き払って私の前に立つはずがない。
私が首を傾げればリズ先生は小さく言葉を紡いだ。
「神子ではない。私がお前を探していたのだ」