縮まらない二人の距離関係
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だんだん怖くなってくる。
肩口に埋められた顔が、身体を抱きしめる腕が、直接伝わってくる心音が。
将臣殿を男だと認識すればするほどに恐ろしさが込み上げてくる。
逃げ出したいのに逃げられない。
やめてと言いたいのに、言い出せない。
それはきっと、まだ心のどこかで期待しているから。
もしかしたら、私自身を見てくれるかもしれないと。
「もう少しだけ、待ってくれないか」
「……将臣殿?」
肩口から漏れる掠れた声。
それは少し震えているように思えて、私は首を傾げる。
その言葉は、一体何を意味しているのか。
その先を早く知りたいような、永遠に知りたくないような。
ただ分かるのは、今このままで時間を止めることなどできないということ。
「もう少しだけ待ってくれたら、俺はちゃんと正面からお前と向き合える気がする。あいつの代わりじゃなく」
「……」
「だからもう少しだけ、俺に時間をくれないか、奏多」
肩口に埋めていた頭を持ち上げて、将臣殿は真摯な眼差しで私を見つめる。
深い青に吸い込まれそうになるのを必死で堪えて、私は小さく一度だけ頷く。
声は、出そうになかった。
でも、待てるのだという意思を彼に伝えたくて。
私はゆったりと頷いてみせた。