何よりも優先すべきは
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「お誕生日、おめでとうございます、リズ先生」
「……」
「これ、ささやかですけど、私と望美からの誕生日プレゼントです」
少し緊張しながら告げれば、先程眉根を寄せた時と同じように、リズ先生はまた少しだけ目を見開いた。
ああ、やっぱり。
私の予想はどうやら的中していたらしい。
何の飾り気もない贈り物だけど、どうやらサプライズくらいにはなったらしい。
こんなことなら、もっと豪華なプレゼントか何か用意しておけば良かった。
そうすれば、もっと驚くリズ先生を見ることが出来たかも知れなかったのに。
自分の行動を少しばかり後悔しながら、私はタルトを切り分ける。
8等分したタルトをリズ先生に渡せば、微かにではあったけれど、リズ先生ははにかんだ。
「私のために、すまない…」
「いえ、私こそもっと気の利いた贈り物を出来れば良かったんですけど…あ!そうだ!」
リズ先生への、私からだけのプレゼントを思い付いた。
高価なものだと、リズ先生も気兼ねしてしまうかも知れない。
だから、私に出来る精一杯のこと。
子どもの時に両親に渡したことあったな、なんて思い出しながら。
「?どうした、奏多?」
いきなり目の前で小さな紙に文字を書き始めた私を見てリズ先生が尋ねる。
出来るだけ丁寧な文字で書き終えた後、私はその小さな紙をリズ先生に手渡した。
「タルトは私と望美からですけど、これは、私から。いつもありがとうございます、リズ先生」
私から手渡された紙に、リズ先生は視線を落とす。
そこにはこう書かれてある。
“リズ先生限定 マッサージ券”
子どもの時には肩たたき券を渡したことがあった。
お父さんもお母さんもものすごく喜んでくれたのを今でも覚えている。
だから、リズ先生にもこれを渡したいと思った。
いつも私に剣術の稽古をつけてくれて、きっと疲れているはずだから。
私なんかの力では少しも気持ちよくならないかも知れないけど、気持ちが大切だと思うんだ。