何よりも優先すべきは
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困り果てていた私に、望美が提案してくれたのだ。
“奏多、料理上手なんだから、何か作ってあげたらいいんじゃないかな”と。
そんな訳で、お菓子を作ることになったのだ。
せっかくの誕生日だからケーキにしようかとも悩んだのだけれど、リズ先生が甘いものを食べているところをあまり見たことがない。
京にいた時だって、譲が作ってくれる蜂蜜プリンも私にほとんどくれていたから。
“蜂蜜プリンを食べている時のお前は、本当に幸せそうだ。それならば、お前が食べた方が良いだろう。私もその方が嬉しい”
そう言って、いつも私の手に蜂蜜プリンを乗せてくれた。
だから、ケーキはやめて甘さを控えた無花果のタルトを作ることにしたのだ。
望美も手伝いたいとのことだったので、極力簡単なものにした。
あまり難しいものにすると、見栄えも悪くなってしまうかも知れないし。
キッチンにはタルトの甘い香りが充満していて、甘いもの好きな私はついつい笑顔になってしまう。
「さて、あとはこれをラッピングして、リズ先生に持っていこうか」
確か以前に友達の誕生日プレゼントでチョコレートケーキを作った時に買ったラッピングの材料が、まだいくつか残っていたような気がする。
それを探そうとキッチンの棚を探ろうとすれば、望美に止められた。
「奏多、ラッピングはいらないよ。先生、ちょっと前に呼んだから」
「え?家に呼んだの?」
「うん!やっぱりせっかくなら出来立てのものを食べてもらいたいじゃない」
確かに出来立ての方が美味しいに決まっているけど、それで誕生日の主役をわざわざ呼び出すというのはいかがなものだろう。
普通はこっちから行くべきなんじゃないだろうか。
そんなことを考えている内に、チャイムが鳴った。
「あ、きっと先生だよ。じゃ、私はこれで!」
「え!?望美、一緒に渡さないの?」
「いいの、いいの。そんな野暮なことはしないって」
「ちょっと望美…!」