縮まらない二人の距離関係
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「……」
体温が上昇して、心臓が煩いくらいに大きく速く鳴っている。
今の私はきっと顔が真っ赤で、耳まで朱色に染まっていることだろう。
恥ずかしさがどんどん自分の内側から溢れ出してきて、将臣殿と目を合わせていることもできそうになくて目を伏せる。
何も言えずにいる私に、将臣殿は喉を鳴らして笑う。
私の方が年上のはずなのに、子供扱いされたような感じがする。
でも、反論することさえできないほどに私の身体は情けなくも硬直してしまっていた。
「……ありがとな」
彼はそう言って、私の身体にそっと腕を回した。
男らしく逞しい腕は、心地よくて思わず身を委ねてしまいそうになる。
心の中で頭を振って、その考えを思考の外へと追いやる。
何も考えるな、何も感じるな。
自分にそう言い聞かせて、地獄のようなこの時間が早く過ぎ去ることを祈る。
でも、彼はどこまでも残酷に、私を突き放す。
「ああ、やっぱりお前と一緒にいるのが一番安心する。あいつに似てるからかな」
“あいつ”という言葉に、私は敏感に反応する。
今、一番聞きたくなかった言葉だ。
せめてこの瞬間だけは、私自身を抱きしめてくれていると思いたかったのに。
「……っ!」
私が将臣殿の腕から逃げ出そうともがけば、更に強い力で腕の中に閉じ込められる。
きつく抱きしめられて、骨でも折られてしまうんじゃないかと思うくらいに。