何よりも優先すべきは
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私の言葉を遮って、リズ先生は告げる。
やっぱり私の考えていることなんて、リズ先生は何でもお見通しらしい。
いつまでたっても、リズ先生は私の二歩も三歩も───ううん、もっと前を歩いている。
走っても走っても追いつけない。
リズ先生は風だ、と思う。
優しく抱き締めてくれたかと思ったら、私を置いてどこかに行ってしまったりもする。
追い掛けずには、求めずにはいられない。
「私、短冊に願いを書きたくて、自分で笹を見つけたいって思ってました。願いを叶えたいなら、誰かの力じゃなくて、自分で探さなきゃって……でも、リズ先生がこうして私の為にわざわざ探してくれたこの笹、すごく嬉しいです。本当にありがとうございます!」
「……そうか…」
リズ先生はそう言って優しく微笑む。
そして笹を抱き締めている私の頭をゆっくりと撫でてくれる。
慈愛に満ちたその指先に、私は頬が緩むのを感じずにはいられない。
「リズ先生が探してくれたこの笹に願いを込めたら、絶対に叶いそうな気がします」
私が笑って言えば、リズ先生はまたそうか、とだけ紡ぐ。
穏やかに微笑むリズ先生を見つめながら、私は短冊に書く願い事を決めていた。
ううん、本当はずっと、心の中で決めていたことだけど。
私の願いは一つだけ
それ以外、
何も要らないから
だから、この願いだけは
どうか叶えて欲しい
貴方と、幸せになりたい──
《終》