何よりも優先すべきは
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聞き慣れた声。
でも聞こえないはずの声。
声に従って、私は短刀を下ろす。
彼の人に刀を向ける訳にはいかないから。
「リズ先生…何故ここに?」
私が問い掛ければ、リズ先生は体の後ろからある物を取り出した。
それは私が探し求めていたもので。
美しい緑に輝く、笹だった。
「これを探していたのだろう?」
「あ…はい!」
「話してくれれば共に探したものを……」
リズ先生は私に笹を手渡してくれた。
私よりも背の高い笹に、思わず息を飲む。
今まで何度も七夕の日を迎えたけれど、こんなにも立派な笹を見たのは初めてだ。
でも、やっぱり私は自分で探したかった。
自分で見つけたかった。
だから素直に喜べない。
ありがとう、ってちゃんと伝えたいのに。
リズ先生は私の為を思って、この笹を探して採ってきてくれた。
それぐらいのこと、言われなくたって分かっているのに。
「あの……」
「礼は必要ない。これは私の我儘だ。お前の望みを叶えてやりたかった」