どんな些細な事でもいいの

貴方の事なら

何だって気付きたいの


目に見える事も

目に見えない事も


感じ取れるようになりたいんだ──



《見逃さないように》



「最近めっきり寒くなりましたねー」


なんて年寄りじみた事を言うのは私。

平和呆け、しているのかも知れない。

この穏やか過ぎる日々に。


私がそう言うと、一呼吸遅れて返事が返ってくる。

ゆったりと、落ち着いた声が。


「…そうだな」


短い相槌はリズ先生のもの。


いつもと変わらない返答。

だけど私は何故だか違和感を感じた。

違和感、と言ってよいのか分からない。

本当に微かで、気のせいだと言われればそうなのではないかと思ってしまう程の感覚。


「先生…？」