あなたは私の世界の中心
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苦笑いでそう言う譲に、私も苦笑いで返す。
…そんな事、言わなくてもいいじゃない。
私は少しでも譲の事を知りたくて。
少しでも譲の苦しみを和らげたくてした事だったのに。
そんな風に言われるなんて心外だ。
「そっち、行ってもいいですか?」
「?どうぞ」
譲はわざわざ私に確認を取って近付いてくる。
よほど辛い夢でも見たんだろうか。
「…奏多先輩、手を繋いでもいいですか?」
「…いいよ」
「…奏多先輩、無茶しないで下さいね」
「………」
なるほど、そういう事か。
私はすぐに譲の意図を理解した。
つまり、譲の夢に現れたのは、他でもない私。
傷付いたのは私なんだ。
それを理解して安心した私がいる。
私が傷付くのは構わないの。
みんなが平気なら。
でも、譲に心配されるのも、悪くないかも知れない。
だって今だけは、私だけの事を考えてくれているから。
譲の心を、私が独り占めしているみたいに思うから。
「約束はしないけど…でも、努力はするよ」
「まったく…あなたって人は……」
譲はそう言って肩を竦める。
でも、それ以上は何も言わなかった。
きっと私が自分を曲げないと、誰よりも知っているから。
世界に朝なんて訪れなければいい
このまま、二人の時間が続けばいい
君が私だけを見て
私の事だけを考えて
側にいてくれるだけでいいのに──
《終》