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「本当に平気です。何かあったらすぐに奏多先輩に報告しますから──だから俺を、信じて下さい」
俺は自分自身をとても卑怯だと思う。
奏多先輩の優しさに付け込んで、それ以上追及出来ないように仕向けている。
“信じて”
そう言えば、奏多先輩が言い返せないことを俺は知っている。
奏多先輩が誰かを信じるということに対して、執着心を見せていることは嫌でも気付かざるを得なかったから。
「……分かった。信じるよ。譲はちゃんと話してくれるって」
奏多先輩は俺から人差し指を離し、にやりと笑った。
それは俺のことを気遣っての笑顔だったんだと思う。
普段はそんな風に悪戯な表情を浮かべるような人ではなかった。
「俺は奏多先輩には嘘はつきませんよ」
「そうだねー。譲は子供の時から本当に正直だったもんね。嘘がつけないっていうか……」
奏多先輩はつい先刻のことなどまるでなかったかのように明るく振る舞った。
俺もそれに合わせて平素を取り繕う。
あなたがそのつもりなら俺も付き合おう。
あなたが弱音を吐かずに前へ進むというのなら、俺は同じように弱音を吐かず、あなたの隣に在り続けよう──
《終》