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奏多先輩はぐいっと人差し指を俺に突き付けてくる。
見上げてくる眼差しは、怒っているのか悲しんで今にも泣き出しそうなのか、判断し難い色合いをしていた。
ただ唯一分かるのは、奏多先輩も今回ばかりは俺を許すつもりはない、ということだ。
今までにも何度かそんな話はしてきたが、どうしても奏多先輩にそれ以上踏み込んで欲しくなくて何かと理由をつけては話を逸らしていた。
だがさすがにおおらかな奏多先輩とはいえ、堪忍袋の尾が切れたらしい。
「ずーっと一緒にいるのに、譲はなぁーんにも分かってない!心配するなって言われる方が余計に心配するに決まってるじゃない」
奏多先輩はそっと視線を外し、地面を睨み付ける。
後悔していて、ひどく自分を責めているような思い詰めた表情に、俺は一瞬話してしまいそうになった。
俺が見た夢をありのままに話すことによって、奏多先輩が安心して笑ってくれるならそれでいい。
でもどうしてもそうは思えない。
奏多先輩がまた遠い所へ行ってしまいそうで怖い──
俺はつい出てしまいそうになった言葉を飲み込んで、作り笑いを浮かべる。
奏多先輩が嘘の笑顔ばかりがうまくなって困る、と話していたことがあった。
それを言うなら俺だって同じだ。
大切なあなたに作り笑いを浮かべなければいけない自分に泣きたくなる。