あなたは私の世界の中心
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俺は小さく溜め息をついた。
そして苦笑い。
どうやら俺はあなたには敵わないみたいだ──
「分かりました、奏多先輩。でも、敬語は許して下さいよ」
「…うー…分かった」
納得しているようにはあまり見えなかったが、とりあえずは奏多先輩と呼ぶだけで許してくれるようだ。
強張っていた筈の頬が今は緩んでいる。
「なんかさ、やっぱり名前で呼んで欲しいんだよ。譲にも」
小さな頃からずっとそう呼んできた。
それがまるで当たり前のようになっていたし。
それでも中学への入学が近付いて、悩んだ末に決めたんだ。
後輩らしく振る舞うと。
どこに先輩に敬語を使わず“ちゃん”付けで呼ぶ後輩がいるのだろう。
でもあなたはそれを嫌がった。
あなたの言葉は。
あなたの表情は。
俺の覚悟を打ち消すには十分過ぎる。
「ごちそう様でした」
奏多先輩はお皿を流しに戻して、いつの間にか降ろしていたリュックを背負った。
「準備、出来たでしょ?」
「ええ。あ、でも今“奏多”先輩が食べ終えたお皿を洗わないと…」
流しに向かおうとする俺の腕を奏多先輩は少し強引に引いた。