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遙先輩は慌てたように両手でお腹を押さえる。
そんな事をしても既に鳴ってしまったものが取り消せるという訳でもないのに。
本当に可愛らしい人だと思う。
「…聞いた?」
少し不機嫌そうに。
少し恥ずかしそうに。
遙先輩は俺を上目遣いに見上げてくる。
中学に通い出したせいか、小学生の頃とは違った少し大人びた眼差し。
たった一年なのに、とても距離を感じる。
「聞きました」
「ばっちり…?」
「ええ。それはもうばっちり」
俺の言葉を聞いて、遙先輩は顔を俯けてしまう。
項垂れた細い首筋に、ちらりと見え隠れする白い項がとても綺麗だった。
何を思ったのか、ややあってから遙先輩は俺に両手を差し出した。
小さな手の平に、彼女の意図を理解した俺は皿を乗せてやる。
「申し訳ない…です」
「いいんですよ。兄さんに食べられるより、“遙”先輩に食べてもらえた方が俺も嬉しいですし」
俺の台詞に、ウィンナーを咀嚼していた遙先輩の口の動きがぴたり、と止まる。
そして薄紅の瞳は瞬きもせずに俺を軽く睨んでいる。
俺には遙先輩のその行動の意味が理解出来なかった。
「……どうしたんですか?」
「今、何て言ったの?」