優しすぎた世界
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我儘かも知れないと分かっている。
押し付けに過ぎないのだと理解している。
でも、だからこそ伝えたい。
嘘偽りなく、今の自分の内側に宿るこの気持ちを。
あの時に伝えていればよかった、と後悔だけはしたくないから。
今日を振り返る日がきた時に、自分の行動は間違っていなかったのだと、胸を張って言えるように。
怨霊を前にした時よりも。
鬼の一族と刃を交えた時よりも。
今までに経験したどの出来事よりも比べ物にならないくらいに、私はひどく緊張していた。
「樹殿…私を……私を、あなたの世界へ連れて行ってはもらえませぬか?」
私の言葉に、樹殿は目を見開いた。
しかしその対応が最もであろうと思われる。
いきなり元の世界へ一緒へ連れて行け、というのだから、驚くのも無理はない。
むしろ至極普通の流れだ。
やはり私ののっぴきならない願いは叶えてはもらえないのだろう。
戸惑いの色を見せるあなたの瞳に、私にどうしようもない罪悪感が押し寄せてくる。
やはり言わなければよかったのだろうか。
言葉にしなければ、樹殿は笑って元の世界に帰ることが出来ただろうか。
しかしもう口に出してしまったものは、取り返しがつかない。
無かったことになど、出来ないのだ
「無理な願いだとは承知致しております。樹殿が返事に窮してしまうであろうことも理解しております。しかしこの頼久、これから先の未来永劫、あなたの側に仕えさせて頂きたいのです」
私はすがる気持ちで、矢継ぎ早に言葉を口にした。