優しすぎた世界
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手を伸ばしても
届かないものがある
それは自分にとっては当たり前で
しかし同時に
どうでもよいことのはずだった
あなたに
あなたに会うまでは──
《明日になったら、さよなら》
鬼の一族を倒し。
見事応龍を生じさせ。
あなたは。
あなた方は、京の都に再び平穏を取り戻した。
それももう一週間も前のことになる。
相変わらず争いのない、平和な日々が続いていた。
何も憂う必要のない毎日に、あなたは──樹殿は、本当に嬉しそうだった。
しかし、私は気付いている。
幸せそうな表情の裏側で、あなたが時折至極切なく、やりきれない表情を浮かべているということを──
藤姫様のお屋敷には、京を救った白龍の神子と応龍の神子を一目でも見ようと多くの人々が押し寄せていた。
怨霊が出なくなってから一週間経つのだが、人々はひっきりなしに訪れていた。
神子殿と樹殿は、一人一人と言葉を交わし、呪詛に苦しむ者があると知れば、すぐさま出掛けていき、尽力していた。
疲れているはずなのだが、それを少しも顔に出さずに応対している二人に、私は賞賛を贈らずにはいられなかった。