優しすぎた世界
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「樹、本当に我々はこの世界に留まってもいいのだろうか?」
泰明さんがあたりの景色を見回しながら言った。
「いいんですよ。それが時空を越えるほどに願いは強かった、って事なんですから。永泉さんもそんな不安そうな顔しないで下さい。皆の事は私達が何とかしてみせますから」
私は心配そうな顔をしたままの永泉さんにも声をかけた。
「そんな…私のようなものが樹殿にご迷惑をかけるなど…」
しゅん、と俯いてしまった永泉さんに私はわざと明るく微笑みかけた。
これから皆の事をちゃんと守っていけるかどうかは、はっきり言って自信はない。
でも皆、私達が京に初めて飛ばされた時不安で仕方なかったように、今とても心細いに決まっている。
まあ全然堪えていなさそうな人も約一名いるけれど…
ま、この人の事は蘭が何とかすると思うからいいや。
「いいの、永泉さん。私達が京にいる時はお世話になりっぱなしだったから。今度は私たちの番だよ。ね、天真くん?」
私が同意を求めると、天真くんはすぐに頷いてくれた。
これから私達の新しい生活が始まるんだ。
どうなるのかなんて、私にも、応龍にもきっと分からない。
でも私たちはきっとどんな事があっても乗り越えていける。
だって私たちはあの京を救った、伝説の神子と八葉なんだから。
力はもう残されてはないけれど、私たちには京で培った強い絆があるのだから。
それがある限り私たちは決して離れたりはしない。
どんな時も繋がっている。
この空はきっと遙なる時空を越えてあの今日の空にも繋がっていると思うから。
《終》