優しすぎた世界
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
だからこそ、私はランを探すことも出来ない。
天真くんの役にたつことも出来ない。
これじゃあ昔の自分に逆戻りしてしまっただけのような気がする。
「それでも私は笑っててほしいの。叶わない願いなんてきっとどこにもない。私たちが諦めさえしなければ、きっと何とかなる」
私は自分に言い聞かせるようにそう言った。
言の葉は本当に強い力を持つから。
言の葉として結ばれてしまったからには必ず実現させなければいけないような気さえする。
その時だった。
突如として、私が右手に握り締めていた頼久さんから貰った髪飾りが発光し始めた。
私は驚いたけれど、髪飾りから目を離すことが出来なかった。
小さな竜胆があしらわれた素朴な感じではあるけれども、とても可愛らしいものだった。
この可愛い髪飾りを、あの頼久さんが選んで買ってきてくれたのだと思うと嬉しくて仕方がなかった。
何故か私はこの光と共に髪飾りが消えてなくなってしまうのではないかととても不安になった。
だってこの世界に戻ってきた私たちの着ているものは元の制服に戻っていたし、京でのものは何一つとしてなかった。
そんな中で残されていたのがこの髪飾りだったのだ。
だから消されてしまうんじゃないのかと思った。
この世界に京の面影を残さないために。
二つの世界が交差したりしないように。