優しすぎた世界
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私は大好きな天真くんがいてくれるから、立ち直れないほど辛くはない。
だけど、頼久さんと離れるのは本当に辛かった。
私にとってはお兄ちゃんみたいな存在だったから。
私は手の中にある頼久さんからもらった髪飾りを握り締める。
天真くんは私がいつも一人で寂しがっていたのを知っているから、頼久さんと仲良くすることは許してくれた。
「それがお前の望みだったんだろう?それならお前が気に病む必要なんてないだろう?」
ぶっきらぼうな言葉ではあったけれど、天真くんの瞳はとても優しかった。
京でもいつも私のことを励ましてくれた。
私は何の力にもなってあげられなかったのに。
それなのに、そんな私のことを天真くんが必要としてくれたことが嬉しくて仕方がなかった。
「…私ね、この結末が良かったなんてどうしても思えないんだ。私たちが干渉していい問題じゃないのはよく分かってる。でも、あかねや詩紋くんがあんな悲しそうな表情をしてるのは見たくないんだ」
「それは俺だって同じ気持ちだ。…でも!!今の俺たちにはどうしようもないだろ!?」
天真くんはそう言った。
本当にそうなのかな。
皆が幸せになる方法はないのかな。
「俺はもう八葉じゃないから五行の力でお前を守ってやることも出来ない。それにお前やあかねももう龍神の神子じゃないんだ。京にいた頃のように俺たちはもう万能じゃないんだ。それぐらいはお前にだって分かってるんだろう?」
私は力なく頷いた。
私はもうただの女子高生なのだ。
京で感じた龍脈の流れも、五行の力もまったく感じない。