何よりも優先すべきは
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リズ先生の言葉に私は拍子抜けしてしまった。
何かもっと重大な理由が彼の口から紡がれるとばかり思っていたから。
リズ先生が外出したのが私のせいだということは予想はした。
でも、まさか私の“ため”だと少しも思わなかった。
私はリズ先生を詰問してしまったことを恥ずかしく思った。
一瞬でも疑ってしまった自分が本当に情けなくて。
何よりも許せない。
私は自分の顔を両手で覆い隠した。
リズ先生に合わせる顔がなかったからだ。
「ご…ごめん、なさい」
私は何とか声を搾り出した。
リズ先生を問い詰めたときとはうってかわって今にも消え入りそうな声だった。
項垂れる私に、リズ先生はコンビニの袋を差し出した。
私は震える腕でそれを受け取る。
袋の中には私の大好きなお菓子や、パンが入っていた。
わざわざ私の好みのものを選んでくれているようだった。
…私、好き嫌い激しいからな。
「私こそすまなかった。お前がそこまで心配するとは思っていなかった」
「違うんです!私のはやとちりなんです。私が、全部悪いんです」
全く引く気を見せない私に、リズ先生は小さく笑った。
私にだけ見せてくれる、柔らかい微笑み。
「奏多の話は家に帰ってから聞こう。このままここにいては、コートを着ていても寒いだろう」
「でもっ…!」
「…奏多」
相変わらず食いつこうとする私に、リズ先生は少し低い声で私の名を呼んだ。
そんな声で呼ばれてしまったら、私に拒否権はないじゃないか。