何よりも優先すべきは
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私が考えなしに行動して、誰かを失うような結果になってしまったことを忘れたわけではない。
それどころかはっきりと覚えている。
忘れられるはずがないのだ。
私の思い上がりが招いた最初の犠牲者は他でもないリズ先生だったんだから。
私は深く深呼吸をした。
それで心が落ち着くかどうかは定かではなかったけれど、何もしないよりはずっとましだと思ったから。
私はとぼとぼと家に向かいながら、何故リズ先生がいなくなってしまったのかを考えた。
私のあまり回転がいいとはいえない頭脳で。
私に愛想を尽かしてしまったのだろうか。
それが考えられる一番の理由ではある。
でも、リズ先生は今日だってそんな素振りは少しも見せなかった。
それどころか勉強ばかりして家に閉じこもりがちな私を真剣に心配してくれていた。
朝ごはんを作ってくれたのも、昼ごはんを作ってくれたのもリズ先生だ。
さすがに三食全てをリズ先生に作らせるわけにはいかないから、晩ごはんは自分で作ったけれど。
そのご飯だって、本当に美味しそうに食べてくれたし、食べ終わった後は、二人で食器洗いだってした。
その間に生まれた会話は、やっぱり私ばかりが話すだけだったけれど、微笑みながら相槌を打ってくれていた。
それなら、何故?
私はますますわけが分からなくなる。
勉強のしすぎじゃないだろうかとも思う。
数式のとき方や、英語の文法のことならすらすらと分かるのに、肝心な大切な人が何を考えているのかが分からない。
分かろうとしても、そこまで考えが及ばない。
「リズ先生…どこ行っちゃったの……?」
私は蚊の鳴くような声で呟いた。
隣にいる人でさえ聞き取ることが困難だろうと思われるほどの音量で。
でも、答えは、返ってきた。