何よりも優先すべきは
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かといって深夜の今、フライパンやらを出して料理をする気にもなれない。
もう少し早い時間なら何か作ろうかとも思えるけれど。
どうせ何かを作れば片付けなければならないし、すぐにまた勉強に戻らなければならないから片付けるのが面倒くさい。
誰か私のためにいろいろ尽くしてくれる人がいればいいのだけれど、生憎そんなメイドのような人はいない。
そもそも一介の高校生が雇えるはずがないのだ、そんなもの。
お金に不自由しているわけではないけれど、そんな所で無駄遣いをするわけにもいかない。
また一年前のように何かが起こるかもしれないし。
あれから私は日常というものがいかに儚いものであるかを理解した。
ううん、理解したつもりでいる。
私がどうしようもなくちっぽけな存在なのだと。
でも、私はそのおかげで大切な人に巡り会うことが出来た。
それこそが変えられぬ運命。
運命の、必然。
そこでふと気づく。
あの人がいないことに。
「リズせんせ…?」
私はぽつりと名を呟いた。
家の中にいようものなら私が名前を呼んだらすぐに駆けつけてくれそうなのだが、返事はない。
こんな夜中にどこへ行っているのだろう。
しかも私に何も告げずに。
私はとにかく玄関へ向かうことにした。
靴の有無でリズ先生が家にいるのかいないのかが分かるから。
鬼の秘術で瞬間的に移動した可能性も考えられなくはないけれど、外に出かけたのなら靴はないはずだ。
誰かの家に移動したのなら話は別だけれど。
でもこの世界の常識を理解しているリズ先生が、こんな真夜中に誰かの家に行くとは到底思えない。
…というかその相手が起きている可能性も低い。
私は壁伝いに歩きながら、一直線に玄関を目指した。